March 8th Saturday.

久々の更新です。
今年に入って表立った活動はありませんが、実は水面下では着々と物事が動いていたりします。近いうちに皆様にはお知らせできるかと。

今日はアートフェア東京と写真の展示を1つ見て来ました。AFTについてはまだ会期中なので改めて書くとして、久々に面白かった展示に出会えたので感想を書いておこうと思います。
P1019180

</ (slash) – shuntaro

人のアイデンティティがつねに安定しない理由の一つは、理想と現実のギャップに悩まされつづけるからだ。それは顔という、アイデンティティ表出の場において、顕著に見られるのではないだろうか?顔はアイデンティティーの象徴である。その人を端的に表す記号であり、広告塔だ。しかし本人にとってはぼんやりとしたイメージ としてしか存在せず、鏡や写真などに映るたびにそれを確認し、構築し直していくことしか出来ない。そして、本人のイメージしている自身の顔は、理想とするイメージに傾倒しやすい。見えないが故に、人は自分を「それなり」のモノだと思うのだ。そしてそれは、他人によって認識されている実際の顔とのギャップを生み出すことになる。この作品では、証明写真のようなポートレートを下敷きに、個々人の理想と現実のギャップを描き出 そうという試みである。

shuntaro

ずっと拝見出来るのを楽しみにしていた展示。最初に見た時の写真の美しさはもちろん、少しだけ私の作品「intimate」とも通じる所があるステイトメントで興味津々でした。本当の自分のポートレイトと、その人が理想とする顔のポートレイトを合成した写真。会場には元になった実際の写真も置いてあり、その両方の写真の混ぜ具合が絶妙でした。人間は自分の本当の顔をリアルに見る事はできません。鏡を通して左右反転した像しか見る事ができないし、他人から見える本当の自分の顔を知る事ができない。でもそれぞれになりたい自分だったり、理想の自分というものがあって、多かれ少なかれそのギャップというものはつきまとっている。その理想と現実の幅を見事に表現した作品でした。shuntaroさんはイギリスのUniversity for the Creative Artsで写真の修士号を取得されたそうで、時間があれば会場に置いてあった論文もゆっくり読みたかったです。他の作品も実にコンセプチュアルで興味を惹かれるテーマばかりでした。鑑賞中、運良くshuntaroさんにもお会いする事ができ、実は昔とあるグループ展でご一緒した事があったりと、勝手に色々とご縁を感じてしまった作家さんでした。

正直、年末あたりからどんなに写真の展示を見ても消化不良な感じが続いていたし、今日のAFTでも日本のアートマーケットに於ける写真メディアの立ち位置がわからなくなりそうですごくモヤモヤしていたので、shuntaroさんの写真展はとても刺激的でした。日本もこういうコンセプチュアルな写真を撮る作家がもっと増えればいいのになぁ。

shuntaro写真展 / (slash)
2014年3月5日(水)~3月23日(日)
@TOKYO INSTITUTE of PHOTOGRAPHY / 72Gallery
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