June 1 Saturday. 「私が写真を撮る理由」

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昼間、ふとLINEを見たらあの子の名前が友達リストに上がって来た。
なんとなく消す事ができなかった連絡先。
その番号はもう新しい誰かの番号になっている。
なんだかあの子の残した物がこうして上書きされていくのが悲しくて涙が止まらなくなった。

大切な人がこの世を去ってもうすぐ7年の月日が経とうとしている。
一緒に過ごした時間は記憶の中で少しずつ薄れていくけれど、
写真という”証拠”を残す事によって、その瞬間にほんの少し戻る事ができる。
当時のアルバムを見ながら、記憶を辿っていた。

あの子がこの世を去った歳の暮れに会社を辞めた。
そして本格的に写真の勉強を始めた。29歳の冬だった。

「使い捨てカメラブーム」まっただ中だった、私たちが一緒に過ごした時間の証拠写真は大量に残っている。
だから今でも記憶は鮮明なままだ。

普段、仕事や作品制作をしていると忘れがちになってしまうけど、
写真の原点って「記録」なんだと思う。
何気ない瞬間を残す事は、この先何十年という時間が経った頃には必ず財産となる。

あの子が見る事のできないこれからを、ちゃんと記録に残す事が私にできる精一杯の事。
救えなかった、せめてもの償い。
こうして残している1枚1枚を、きっとあの子はどこかで見てくれていると信じているし、
いつかファインダー越しに、あの子に会える瞬間があるような気もしている。

それが私が写真を撮る理由。